こんにちは。家を建てる.com、運営者の「北条」です。
現在、関東圏でマイホームを検討されている方の中には、一戸建てにおすすめの地域はどこなのかと調べている方も多いのではないでしょうか。
そして、東京の不動産価格高騰が続く中、埼玉や千葉、神奈川といった周辺エリアの相場や通勤の利便性も気になるところですよね。
2025年以降は鉄道インフラの劇的な変化や自治体による攻撃的な子育て支援策により、これまでとは全く違った視点での「穴場エリア」が注目されています。
土地探しは何を優先順位のトップに置くかで、その後の人生の満足度が天と地ほど変わります。
この記事では、私が徹底的にリサーチした最新の市場動向と、実際の住み心地に関するデータを掛け合わせ、後悔しないエリア選びのヒントをお伝えします。
【この記事でわかること】
- 通勤時間だけでなく移動の快適性を重視したエリア選定の重要性
- 地価高騰が遅れている狙い目の穴場エリアとその特徴
- 共働き世帯の生活を楽にする自治体の子育て支援策の違い
- ハザードマップを活用した水害リスクと資産価値の考え方
関東の一戸建てにおすすめの地域選びの基準
関東エリアで一戸建てを探す(建てる)際、単純に「都心から何キロ離れているか」や「駅徒歩何分か」という従来のスペックだけで判断するのは少しもったいないかもしれません。
鉄道網の相互直通運転の発達により、物理的な距離よりも「時間」や「精神的な快適さ」が資産価値として重視されるようになってきています。
ここでは、2025~2026年の市場トレンドを踏まえた賢いエリア選びの基準について、私の経験も交えながら整理してみました。
都心への通勤時間と移動の快適性を重視
かつては都心からの物理的な距離が近ければ近いほど良いとされていましたが、最近は「ドア・ツー・オフィス」の時間と質へと価値観が大きくシフトしているように感じます。特に昨今の満員電車の過酷さは、毎日の仕事のパフォーマンスに直結する重要な問題です。
例えば、地図上では都心から遠く見える場所であっても、始発駅を利用することで「座って通勤できる」という選択肢は、何にも代えがたい価値があります。
仮に通勤時間がトータルで1時間かかったとしても、そのうちの50分間を座って読書や睡眠、あるいはスマホでの情報収集に充てることができれば、それは単なる移動時間ではなく「自分だけの自由時間」に変わります。
一方で、都心まで30分という近距離にあっても、身動きが取れないほどの満員電車で押しつぶされながらの移動は、心身ともに大きな消耗を強いられます。
また、2025年末時点では相鉄・東急直通線の効果が完全に浸透し、神奈川県央部から都心へのアクセスが劇的に向上しています。
このように現在は、路線図のつながりを改めて確認し、「乗り換え回数が少ない」「始発設定がある」「有料着席サービス(ライナー等)が利用できる」といった移動の快適性(Quality of Commuting)を土地選びの重要指標に加えることをおすすめします。
これは将来、家を売却する際にも、共働き世帯への強力なアピールポイントとなるはずです。
地価上昇前の狙い目となる穴場エリア
インターネットで「穴場」と検索すると様々な地域が出てきますが、私が考える「本当の穴場」とは、利便性が向上している事実に対して地価の上昇がまだ追いついていない「価格の歪み」がある地域のことです。
不動産市場は株価のように瞬時に反応するわけではなく、街の評判が定着するまでには数年のタイムラグがあります。
私が注目する「穴場」の3つの定義
- 価格の歪み(タイムラグ):新しい路線の開通や駅前再開発が完了した直後で、まだ世間の評価(地価)が上がりきっていないタイミング。
- 供給の質(区画整理地):細切れのミニ開発やマンションばかりではなく、良質な一戸建て用地(30~40坪以上の整形地)が継続的に供給されているエリア。
- 行政の強さ(差別化):隣接する他の市町村と比較して、子育て支援や防災対策、インフラ整備予算において明確な優位性を持っていること。
特に私が注目しているのは、大規模な「土地区画整理事業」が行われている地域です。昔ながらの細い道が入り組んだ地域とは異なり、区画整理地は道路幅が6メートル以上確保されていたり、公園が計画的に配置されていたりと、街全体の景観が統一されています。
こういった街は住民層も同時期に入居する一次取得層が多いためコミュニティが形成されやすく、治安も良い傾向にあります。
今はまだ知名度が低くても、街並みが美しく整っているエリアは、10年後、20年後の資産価値が維持されやすい「未来のブランドエリア」候補と言えるでしょう。
共働き世帯が注目すべき子育て支援の充実度
これから子育てをされる世帯、あるいは真っ最中の世帯にとって、自治体による支援策の違いはもはや「おまけ」ではなく「生活防衛」の要です。
特に注目すべきは、一時的な現金の給付(出産祝い金など)よりも、日々の生活を支えてくれる「継続的なサービス」の質です。
例えば、医療費の助成が「中学生まで」なのか「高校卒業まで」なのかによって、家計への影響は数十万円単位で変わってきます。
しかし、それ以上に重要なのが、共働きを継続するためのインフラです。千葉県の流山市や松戸市が成功した最大の要因は、駅前に「送迎保育ステーション」を設置したことでしょう。
これは、親は駅前のステーションに子供を預ければよく、そこから各保育園へはバスで送迎してくれるというシステムです。これにより親は「保育園の場所」に縛られずに家を探すことができ、毎朝夕の送迎というハードなタスクから解放されます。
このように、行政サービスには「時間を生み出すサービス」と「経済面の負担を軽くするサービス」の2種類があります。
土地の価格が隣の市より数百万高くても、これらのサービスによって得られる時間や、妻(または夫)が仕事を辞めずに続けられることによる生涯賃金の維持を計算に入れれば、トータルコストでは十分に元が取れる、あるいは逆転することさえあるのです。
気になるエリアの自治体のホームページを隅々までチェックし、その本気度を見極めましょう。
3000万円台から探す新築一戸建ての可能性
建築資材の高騰や人件費の上昇により、都内で注文住宅を建てようとすると土地代を含めて7000万円や8000万円という金額も珍しくなくなりました。
「もう一般庶民には一戸建てなんて無理なのか…」と諦めかけている方もいるかもしれませんが、エリア選定の視野を少し広げるだけで、3000万円台~4000万円台前半での新築一戸建て購入は2026年現在でも十分に可能です。
ここで重要なのは「駅徒歩」へのこだわりを捨てる勇気です。私が注目しているのは、神奈川県の相鉄線沿線(特に三ツ境や瀬谷など)や、埼玉県、千葉県の郊外エリアにおいて、バス便を利用する立地です。
「バス便」と聞くとネガティブな印象を持つかもしれませんが、テレワークが定着した現在、毎日通勤する必要がないのであれば、駅近の狭小住宅に住むよりもバスで10分~15分離れた場所で、広い庭とカースペース2台分、そして静かな住環境を手に入れる方が、生活の満足度が高いというケースは増えています。
特に大手ハウスメーカーの建売分譲などでは、駅から離れた場所に大規模な街をつくることが多く、建物自体のグレードは高いまま、土地価格を抑えて提供されています。
3000万円台で購入できれば、月々の返済は家賃よりも安くなる可能性が高く、教育費や老後資金に余裕を持たせることができます。
家のスペックや広さを諦める前に、「駅からの距離」というパラメータを調整して、豊かな暮らしを実現する選択肢を模索してみてください。
災害に強い土地選びとハザードマップの活用
近年、気候変動の影響による台風の大型化やゲリラ豪雨の頻発により、土地選びにおける「災害リスク」の評価は日当たりや間取りと同じくらい、あるいはそれ以上に重要な要素となっています。
特に平野部が多い関東エリアでは、河川の氾濫による浸水リスクを避けて通れない地域も多く存在します。
ハザードマップで確認すべき「深さ」と「時間」
単にマップ上で色が塗られているかどうかで一喜一憂するのではなく、以下の詳細データを冷静に読み解くことが大切です。
- 浸水深(ランク):「0.5m未満(床下)」なのか、「3.0m未満(1階水没)」なのか、あるいは「5.0m以上(2階まで水没)」なのか。これによってそもそもその土地に住むべきか、3階建てで対応できるかが決まります。
- 浸水継続時間:水が引くまでに何日かかるか。2週間以上水が引かないエリアでは、建物が無事でもライフラインが途絶え生活が破綻する「孤立リスク」があります。
公的な情報源として、国土交通省が提供しているポータルサイトは必ず確認しましょう。複数の災害リスクを重ねて表示できるため、複合的なリスク判断に役立ちます。
もし、予算や利便性の都合で浸水リスクのあるエリア(例えば葛飾区や江戸川区などの低地、あるいは河川近く)を選ぶ場合は、絶対に「対策」をセットで考えるべきです。
具体的には、3階建てにして主寝室やリビング、そして分電盤などの重要設備を2階以上に配置する「垂直避難」が可能な設計にすること。
さらに水害保険への加入は必須です。「安さには理由(リスク)がある」ことを十分に理解し、万が一の際のシミュレーションができているのであれば、それは合理的な選択となり得るでしょう。
関東の一戸建てでおすすめの地域を県別に比較
ここからは2026年の最新トレンドと市場データを踏まえた、具体的なおすすめエリアを県別の特徴とともに詳しく解説していきます。
それぞれの地域には明確な個性があり、ライフスタイルによって「合う・合わない」がはっきり分かれます。ご自身の家族構成や働き方をイメージしながら読み進めてみてください。
埼玉県は教育水準の高さと交通の便が鍵
埼玉県は関東平野の中でも比較的標高の高い武蔵野台地が県内の中央を貫いており、古くから地盤が安定している住宅地として認識されています。
これは大規模な災害、特に地震や液状化に対するリスクが低いという安心感に直結し、住宅購入層にとって大きな魅力となっています。
また、JRや私鉄の路線が南北に複数走り、都心へのアクセスにおいて一つの路線トラブルに左右されない「冗長性の高い交通網」を持っているのも、多忙な共働き世帯には見逃せないメリットです。
浦和・大宮:盤石のブランドと広域ハブとしての機能
予算に十分な余裕があり、何よりも「教育環境」と「資産価値の維持」を最優先するなら、埼玉県内ではやはり、さいたま市(浦和区・大宮区)を最重要エリアとして検討すべきでしょう。
「埼玉の文京区」と称される浦和エリアは古くからの文教都市としての歴史を持ち、特に公立小中学校や県立高校(浦和高校、浦和第一女子高校など)の教育水準が極めて高いことで知られています。
こうした教育ブランドが高所得層や教育熱心なファミリー層を磁石のように引きつけ、地域の治安や住環境の質を保つ循環を生み出しているため、市況が変動しても資産価値が落ちにくいという強い抵抗力を有しています。
一方の大宮は北関東の玄関口であり、新幹線を含むJR各線(京浜東北線、埼京線、高崎線、宇都宮線など)が結節する広域交通ハブです。東京方面への通勤者はもちろん、群馬や栃木方面への出張が多いビジネスパーソンにとっても最適な立地でしょう。
駅周辺にはルミネや大宮タカシマヤなどの大規模商業施設が集中し、生活に必要なものはすべて駅周辺で完結する「生活完結性」が極めて高いのが特徴です。教育と商業のどちらを重視するかで、浦和と大宮を選ぶ視点が変わってくるでしょう。
TX沿線・三郷中央:スピードと新しい街並みの融合
都心へのアクセススピードとコストパフォーマンスを両立させたいファミリー層に私が特におすすめしたいのが、つくばエクスプレス(TX)沿線の「三郷中央」です。秋葉原まで約20分という驚異的な接続性は、物理的な距離のハンディキャップを完全に無効化します。
TX開通後に開発された新しい街であるため、電線地中化された広い道路、計画的に配置された公園、現代的なデザインの商業施設が融合しており、旧来の雑然とした市街地とは一線を画します。若いファミリー層の流入が活発で、活気に溢れているのも魅力です。
西武線沿線:始発と再開発による価値向上
通勤の快適性を最優先するなら西武池袋線のエリアにも目を向けたいところです。中でも「所沢」は駅周辺の大規模な再開発により、商業施設(グランエミオ所沢など)や文化施設(角川武蔵野ミュージアム=サクラタウン)が整備され、単なるベッドタウンから「生活を楽しめる滞在型都市」へと進化し、これによりエリアのブランドイメージが大きく向上しています。
そして、さらに注目すべきは「小手指」です。池袋まで直通30分弱という距離にありながら、始発駅としての特性を持っています。これは共働き世帯にとって「毎日確実に座って通勤できる」という物理的・精神的アドバンテージを提供します。
特に子育て中の共働き夫婦にとって、満員電車で消耗する時間を座って休息や仕事の準備に充てられることは、日々の負荷を劇的に軽減する大きな要因となります。
さらに駅前には24時間営業のスーパーなどの生活利便施設が集積し、少し離れれば閑静な住宅街が広がるため、住環境と利便性のバランスが非常に高いレベルで保たれています。
埼玉県のエリア選定チェックポイント
埼玉はJR京浜東北線、埼京線、東武伊勢崎線、つくばエクスプレス、西武線など、南北に走る主要路線が非常に多いため、都心へのアクセス先(東京、新宿、上野、秋葉原)によってどの路線を選ぶかが変わってきます。ご自身の勤務地への「乗り換えなし」を最優先にエリアを絞り込むのが効率的でしょう。
千葉県は独自の行政サービスと広さが魅力
千葉県は東京の東側に位置しますが、近年、東京都心からの子育て世帯の人口流入を積極的に呼び込むため、自治体同士による「子育て支援合戦」が最も激しいエリアとなっています。
この競争の結果として住民サービスが向上し続けていることが、千葉県を住宅地に選ぶ最大のメリットと言えます。特に、東京の家賃や地価に比べて割安で広大な土地に住みながら、手厚い行政サポートを受けられるというコストパフォーマンスの高さは大きな魅力です。
松戸市:子育て支援策の「王者」としての実利
子育て支援の充実度で千葉県の筆頭といえるのが「松戸市」です。共働き子育てしやすい街ランキングなどで常に上位を獲得しているのは伊達ではありません。
その象徴が、前述した「駅前送迎保育ステーション」です。これは、親は松戸駅や隣接駅のステーションに子供を預けるだけでよく、そこから各保育園へは市が用意したバスで送迎されるシステムですが、これにより親は毎朝の送迎ルートに縛られず通勤時間を確保できます。
さらに、病児・病後児保育の充実や、医療費助成の年齢制限など、共働き世帯が直面する具体的な課題(特に「小1の壁」)に対するソリューションを行政が積極的に提供しています。
地価は東京23区(葛飾区、江戸川区)に隣接していながらも抑えられており、「広い土地」と「手厚い支援」という二つのメリットを最高レベルで両立しています。
柏・流山おおたかの森:ブランド力と都市計画の成功例
街並みのブランド力や雰囲気を重視するなら、柏・流山おおたかの森エリアが現代的な選択肢です。特にTX沿線の「流山おおたかの森」は、「母になるなら、流山市。」のキャッチコピーを掲げ、子育て世代をターゲットにしたマーケティングに成功しました。
結果として、緑豊かな美しい街並みと大型商業施設が融合しており、都内から移住してくる感度の高い層が多く、住民の質が高いエリアとして一種のブランドエリア化しています。広い区画整理地が広がり、都市機能と自然環境が理想的な形で調和しているモデルケースと言えます。
また、「柏市」は千葉県北西部の商業核であり、駅周辺の百貨店や商業施設の充実度は都内主要駅に引けを取りません。生活の利便性は極めて高い一方で、バス圏には広大な自然環境と閑静な住環境が広がるため、利便性と居住快適性のバランスを求める層に最適です。
印西(千葉ニュータウン)・白井:広大な敷地と災害に強い地盤
庭でBBQがしたい!カースペースを複数台確保したいなど、とにかく「広さ」や「ゆとり」を最優先する方には、北総線沿線の「印西(千葉ニュータウン)」や「白井」エリアがおすすめです。
これらのエリアは広大な計画都市として開発されており、道路が広く、大型商業施設(コストコ、ジョイフル本田など)が充実しています。
そして何よりも大きな魅力は、その地盤の安定性です。印西には大規模なデータセンターが多数集積していますが、これは地盤が極めて固く、大規模災害のリスクが低いことを表しており、地盤が良いということは住宅の基礎工事費用も抑えられやすいという間接的なメリットにもつながります。
都心からは距離がありますが、車社会での生活を前提とし、ゆったりとした北米的な住環境を求めるなら、コストパフォーマンスは非常に高いと言えるでしょう。
神奈川県は鉄道インフラの変化で注目の的
神奈川県の不動産市場は、2023年に開業した「相鉄・東急直通線」の影響が2026年になっても色濃く残っており、まさに「交通革命」による価値の再編期にあります。
このインフラの変化により、これまで都心へのアクセスに難があった神奈川県央部のエリアが、一気に広域的なベッドタウンへと変貌を遂げました。
相鉄線沿線:都心直通による価値の爆発的向上
最大の注目株はやはり相鉄線沿線(西谷、二俣川、海老名など)です。かつては横浜駅へのアクセスを主としていましたが、直通線の開業により、新横浜・渋谷・新宿・目黒といった都心主要駅へ乗り換えなしでダイレクトにアクセス可能となりました。
これにより通勤時間が最大で20分以上短縮されたエリアも存在し、その利便性の向上は計り知れません。
特に「海老名」は相鉄線の始発駅であると同時に小田急線の主要駅でもあり、東西への移動の結節点として機能しており、駅周辺にはららぽーとやビナウォークなどの大規模商業施設が集中するなど、再開発によって「住みたい街」としての地位を確立しています。
また、直通線の分岐点である「西谷駅」は各駅停車の始発駅としての機能も持ち始め、価格優位性を保ちながら都心へアクセスできる「隠れた穴場」として評価が高まっています。
これらのエリアではアクセス向上の恩恵にもかかわらず、まだ3000万円台からの新築分譲住宅が見られる場所もあり、一次取得層の戦略的な狙い目となっています。
長津田:田園都市線ブランドと始発のコストパフォーマンス
東急田園都市線のブランドエリア(たまプラーザや青葉台)が高価格帯で推移する中、「長津田」は現実的な選択肢として強力に浮上しています。長津田はJR横浜線と東急田園都市線の2路線が利用できるデュアルアクセスが最大の強みです。
横浜方面にも渋谷方面にもアクセスが容易であり、特に田園都市線では始発列車が設定されているため、都心主要駅へ「座って通勤」という快適性を確保しやすいのが大きなメリットです。
田園都市線のブランド力を享受しつつも、主要駅と比較して地価が低く抑えられており、住環境とコストのバランスを重視する層にとって非常に魅力的なエリアです。
本厚木:ゆとりの着席通勤と手厚い子育て支援
都心からの距離はあるものの、それを補って余りあるメリットを提供してくれるのが、小田急小田原線の「本厚木」です。特急ロマンスカーの停車駅、かつ始発駅である特性を活かし、新宿までの約1時間弱を完全着席で移動可能です。
毎日座って移動できることは、通勤疲労の蓄積を劇的に軽減し、体力の消耗を抑えることに直結します。
また、厚木市は行政サービスが手厚いことでも知られており、例えば、市独自の紙おむつの支給事業など、子育て世帯の経済的負担を軽減する施策が充実しています。
さらに駅周辺の商業集積も著しく、生活完結型都市としての機能が高いため、都心での勤務頻度が少ないハイブリッドワーカーや通勤時間を有効活用したい層にとって、本厚木は距離のデメリットを上回る「ゆとりのある生活」を提供してくれるでしょう。
東京都下の多摩地域は住環境と価格が均衡
「やはり住所は東京が良いけど、23区は高すぎて手が出ない…」というジレンマを抱える方にとって、多摩地域(市部)は非常に現実的かつ魅力的な選択肢です。
多摩地域は都心へのアクセスを一定レベル維持しつつ、23区内では望めない「緑の豊かさ」「広い敷地」「計画的に整備された街並み」といった、住環境の質の高さを確保できるバランスの良さが光ります。
特に23区のような急激な価格高騰がなく、価格が安定している点も魅力です。
中央線沿線:小金井の緑被率と利便性の両立
中央線沿線の「小金井(武蔵小金井・東小金井)」は、都心勤務者にとって最も許容しやすい距離感にあり、新宿まで約25~30分というアクセス性は共働き世帯の通勤を支えます。
武蔵小金井駅周辺は再開発により利便性が向上した一方で、都立小金井公園に代表される緑地が区画の多くを占めています。小金井公園の広さは東京ドーム約17個分にも及び、その圧倒的な緑被率が都心近接エリアでは稀有な「自然の中での子育て環境」を提供しています。
小金井は「買えない吉祥寺」の単なる代替地ではなく、豊かな住環境を求めるファミリー層にとって、積極的な第一候補として機能しているといえるでしょう。
京王線沿線:調布のスピードと文化的背景
京王線沿線の「調布」は特急停車駅であり、新宿まで最短で約20分(2駅)という驚異的な近接性が特筆に値します。近年では地下化工事の完了により駅前空間が整備され、非常に洗練された印象になりました。
調布は「映画の街」としての文化的な背景を持ち、駅周辺には大型商業施設や映画館が揃っています。また、多摩川の自然にもアクセスしやすく、都会的な利便性と文化・自然が融合した質の高い生活を送ることができるでしょう。
子育て世帯にとって、都心へのアクセスを確保しつつ、ゆったりとした生活リズムを維持しやすいエリアです。
府中市・多摩市:財政基盤の安定がもたらす質の高いサービス
多摩地域の自治体、特に「府中市」や「多摩市」が住みやすい街ランキングで常に上位にランクインするのは、その行政サービスの質の高さが評価されているためです。
これらの地域には大企業やデータセンターなどが多く集積しており、法人税収が潤沢です。この安定した財政基盤が公共施設の整備、公園の維持管理、そして独自の支援策(例:待機児童対策や医療費助成)に還元されています。
緑が多く、道路や街並みが計画的に整備されていることに加え、行政サービスによる「安心」が上乗せされることで、住民の満足度が非常に高い傾向にあると言えるでしょう。
一戸建てを建てる際は地盤だけでなく、「自治体の財政」という目に見えないインフラの安定性も重要な判断材料となります。
多摩地域選びのポイント
- 中央線:新宿・東京方面へのアクセス重視。文化的で洗練された街が多い。
- 京王線:特急利用で新宿へのスピード重視。価格帯は中央線よりやや抑えめ。
- 小田急線:新宿・渋谷へのアクセスに加え、厚木・小田原方面への移動も容易。
23区内で手が届く葛飾区の魅力と注意点
「住所はどうしても東京23区がいい」「予算は抑えたいけど都心へのアクセスは譲れない」という、相反する要望を持つ方々にとって、最後の砦とも言えるのが「葛飾区」です。
他の区が坪単価の高騰により一般のサラリーマン世帯を置き去りにする中、葛飾区はまだ比較的現実的な価格帯で一戸建てが検討できる貴重なエリアとして注目を集めています。
葛飾区の魅力:資産性・価格・下町情緒のバランス
葛飾区の最大の魅力はもちろん「23区内である」という資産性です。都心へのアクセスもJR常磐線(快速)や京成線を利用することで、上野、日本橋、新橋方面へスムーズに移動できます。京成線は成田・羽田の両空港へのアクセスも容易なため、出張が多い方や旅行好きの方にも便利です。
価格帯は23区の平均と比べると圧倒的に安価(土地価格の平均が約40万円/m2程度)に留まっているため、予算を抑えつつ都心近接の生活を求める層にとっての受け皿として機能しています。
また、「こち亀」や「寅さん」で知られるような下町情緒が色濃く残っているのも特徴です。物価が安く、個人商店や昔ながらの活気ある商店街が残っているため、生活コストを抑えながら楽しく暮らすことができます。
地域コミュニティも温かく、人間関係が希薄になりがちな都会生活とは一味違った、人情味のある暮らしができるでしょう。
命と財産を守るための最大の注意点
しかし、葛飾区を選ぶ上で絶対に目を背けてはならないのが、その水害リスクです。荒川・江戸川・中川という大河川に囲まれた地理的特性上、区内の広範囲が「海抜ゼロメートル地帯」に位置しており、広範なエリアが洪水ハザードマップの浸水想定区域に含まれます。
このリスクを理解せずに購入することは、命と財産に関わる重大な判断ミスにつながりかねません。
葛飾区で一戸建てを買う(建てる)ための3つの必須対策
価格メリットを享受しつつも安全性を確保するためには、以下の対策が必須となります。
- 3階建てを前提とする:居住スペースや寝室を2階以上に確保し、垂直避難を可能にする設計にします。
- ライフラインの防御:分電盤や給湯器など、水に弱い重要設備は必ず高い位置に設置します。
- 備蓄の徹底:浸水継続時間が長い場合を想定し、最低でも1週間分の水、食料、簡易トイレなどの備蓄を浸水しない上階に用意します。
安価な23区アドレスを手に入れるためには、これらのリスクと対策コストを織り込む必要があります。リスクを正しく理解し、物理的な防御(ハード面)と準備(ソフト面)ができるのであれば、葛飾区は非常に魅力的な選択肢となりますが、その判断は慎重に行うべきでしょう。
【2026年】関東の一戸建てでおすすめの地域について総括
ここまで、2025年12月現在の市場環境に基づいたおすすめエリアを詳しく解説してきました。
「関東で一戸建てを手に入れるおすすめの地域」という問いに対する正解はもちろん一つではありません。ご自身が何を優先するかによって、ベストな選択肢は変わってきます。
| 優先順位(インサイト) | おすすめエリア例 | このエリアを選ぶべき理由とメリット |
|---|---|---|
| 時間効率重視 (時は金なり) |
三郷中央(TX) 西谷(相鉄) |
都心への移動時間を極限まで短縮し、最新の街並みでスマートに暮らすならここ。将来性も◎。 |
| 快適通勤重視 (座って移動) |
小手指(西武) 本厚木(小田急) |
始発駅の特権を活かし通勤時間を読書や睡眠に充てる。精神的な余裕を最優先する方に。 |
| 子育て支援重視 (共働き必須) |
松戸(千葉) 流山(千葉) |
送迎ステーション等の実利的な行政サービスが最強。共働きを継続しやすく経済効果が高い。 |
| 資産価値重視 (教育・ブランド) |
浦和(埼玉) 大宮(埼玉) |
高い教育水準と圧倒的な利便性。価格は高いが資産価値が落ちにくい「鉄板」の選択。 |
| 23区内重視 (コスパ・東京) |
葛飾区 足立区 |
23区内で唯一手が届く価格帯。水害対策を万全にすれば高い利便性と資産性を享受できる。 |
2026年の住まい選びは「妥協点(トレードオフ)」をどこに設定するかが成功の鍵になります。都心への短時間アクセスをとるか、始発での快適さをとるか。あるいは家の広さをとるか、行政の手厚い支援をとるか。
私としては、これから家を建てる(買う)なら現在の人気ランキングや一時的なブームに流されるのではなく、将来的なインフラの変化(路線の延伸など)や気候変動に伴う災害リスクまで含めた「持続可能な住み心地」を重視してほしいと思います。
家は「建てて終わり」ではなく、そこから何十年という生活が続く舞台です。この記事の情報があなたとご家族にとって「最高の舞台」を見つけるための、確かな道しるべになれば幸いです。
※本記事の情報は2025年12月時点の市場動向や取材に基づいた一般的な目安です。不動産の購入や契約、各自治体の支援制度に関しては必ず最新の公式情報を確認し、不動産の専門家や各役所にご相談の上、最終的な判断をお願いいたします。
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